ふたご / 藤崎沙織
直木賞候補作になった作品という事で、気になっていました。
ただ、なかなか読む気にならず、積ん読状態だったこの小説。
表紙を開くまでは正直期待はしていなかったのですが、読み始めた瞬間とまらなくなりました。
SEKAI NO OWARIの事はネットで流れているような簡単な情報しか知りませんが、限りなくノンフィクションに近いフィクションなのでしょうか。
実際にこんな青春時代を過ごしていたとしたら、なんて壮絶でドラマティックな人生。
どこまでが本当にあった事で、どこからが虚構なのか。
私小説ですね。良いと思います。
運命というのはこういう風に抗えないものなのでしょう。
主人公のなっちゃんの感情は特にリアルに響いて、魂の叫びを聞いている様でした。
文章は変な癖がなく読みやすく明快、内容は重いのに重さを感じさせません。
私は重い内容の小説を読むと、読後、何かどろりとしたものが自分に残ることが多いのですが、この作品はそんな事が一切なかったように思います。
シンプルに小説として面白かったです。