ゆうほのレビュー&Review

読書と宝塚歌劇と日々の記録

サロメ / 原田マハ

サロメ

オーブリー・ビアズリーの名前をこの本を読むまでは知らなかった。

しかし、この本の表紙を飾る独特なタッチのイラストに既視感があった。

血の滴る生首を捧げ持ち、いまにも接吻しようとその首を見つめ、宙に浮いている女性

The Climax と名付けられたこのイラストだけでも、一体どんな話が繰り広げられるのだろうと期待値が上がる。

わたしと同様オーブリービアズリーの名前は知らなくとも、彼の作品をどこかで目にしたことがある人は多いのではないだろうか。

 

小説は現代のロンドンから始まる。

オスカーワイルドの研究者からビアズリーの研究者が見せられたものは、ビアズリーの未発表の「サロメ」だった。

その後時代を遡り、小説はオーブリービアズリーの姉、舞台女優であったメイベルビアズリーの視点で語られる。

その後は史実とフィクションが入り混じり、恋と嫉妬と背徳と野心が描かれる、オーブリービアズリーとオスカーワイルドとメイベルビアズリーの物語である。

頽廃的で刺激的な内容なのに、どこか読みごこちはさらっとしているのは原田マハの持ち味。

原田マハさんの作品の中ではとてもおすすめ。

 

 

自分用メモ

関連して読みたい書籍

サロメ/オスカーワイルド(平野啓一郎訳)

ISBN-13: 978-4334752484

サロメ (光文社古典新訳文庫)

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